三田矯正歯科ブログ

2023.04.20更新

前回、前々回、前々前回の続きです。


近年、EBM普及推進事業(Minds)診療ガイドラインに掲載された
『矯正歯科治療の診療ガイドライン 成長期の骨格性下顎前突編』の中で、骨格性下顎前突に使用される3つの代表的な矯正歯科装置の診療ガイドラインが掲載されていますので説明しています。

(1)成長期の骨格性下顎前突に上顎前方牽引装置は推奨されるか
   →成長期の骨格性下顎前突に上顎前方牽引装置を弱く推奨する

前々回の記事で解説済み

(2)成長期の骨格性下顎前突にチンキャップは推奨されるか
   →推奨しない

前回の記事で解説済み

 

今回は、

(3)成長期の骨格性下顎前突に機能的矯正装置は推奨されるか

   →弱く推奨する

 

理由(抜粋&一般の方にわかりやすいように書き換え)
短期間(治療開始約1年)では、上顎骨の前方移動、下顎骨の後方移動といった骨格系の改善効果とそれに伴う横顔の改善効果がある。しかし、下顎骨成長終了時の治療効果についてエビデンスが欠如している現時点では、治療する/しないの選択において患者・家族の価値観や好みによるばらつきが大きくなると考えられ、弱い推奨とする。

【解説】
機能的矯正装置とは、筋肉の力や噛む力を利用した矯正装置です。上顎骨の劣成長や下顎骨過成長など、骨格自体に問題がある場合には効果はでません。単に、下顎を前に出して噛む癖がある場合や、上顎前歯が後方傾斜しているため正しい位置で噛むことができず、下顎を前に出さないと噛めないような場合などが該当します。

つまり、反対咬合になっている理由を調べずに機能的装置を使用することはない筈なのですが、現実的には矯正のための検査も行わずに下の画像のような既製品の装置を購入して安易に使用してしまう場合も少なくないようです。

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誤解があるといけないのですが、この装置を否定するものではありません。正しい診断の元(なぜ骨格に問題がないのに反対咬合になっているかの原因を正しく特定できているか?)で、この装置の使用がベストであると判断した明確な根拠があれば良いと思います。但し、このような装置は比較的新しいものなので、この装置を使用した患者で長期安定しているかのデータがまだ多くはありません。上記の『エビデンスが欠如している現時点』とは、そういうことも意味しています。

当院では今のところ使用しておりません。

 

思いの外まとまらず4回に跨がってしまいましたが『成長期の骨格性下顎前突の診療ガイドライン』の解説は今回で終了です。

 

成長期の骨格性下顎前突の診療ガイドライン(その1)を読む

成長期の骨格性下顎前突の診療ガイドライン(その2)を読む

成長期の骨格性下顎前突の診療ガイドライン(その3)を読む

 

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2023.03.15更新

前回、前々回の続きです。


近年、EBM普及推進事業(Minds)診療ガイドラインに掲載された
『矯正歯科治療の診療ガイドライン 成長期の骨格性下顎前突編』の中で、骨格性下顎前突に使用される3つの代表的な矯正歯科装置の診療ガイドラインが掲載されていますので説明しています。

(1)成長期の骨格性下顎前突に上顎前方牽引装置は推奨されるか
   →成長期の骨格性下顎前突に上顎前方牽引装置を弱く推奨する

前回の記事で解説済み

 

今回は、

(2)成長期の骨格性下顎前突にチンキャップは推奨されるか
   推奨しない


理由(抜粋&一般の方にわかりやすいように書き換え)
エビデンスの質が低く、とくに骨格系の治療効果については不確実。さらに下顎骨成長終了時の治療効果についてエビデンスが欠如している現時点では、治療する/しないの選択において患者・家族の価値観や好みによるばらつきが大きくなると考えられ、推奨の方向を決めかねるため。

【解説】
前回も記載した通り、残念ながら下顎骨の過成長を止める方法は存在しません(過去には止めようとしていた時代もありましたが、止められないことがわかってきたため、下顎骨の過剰な成長を止める目的の治療装置は使用されなくなっています)。過去には、下の画像のようなチンキャップという装置を使用していた時代もありました。私が最後にこの装置を患者さんに使用したのは、平成2年頃大学病院の矯正歯科勤務時代です。

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この頃からチンキャップの効果に関しては否定的な研究結果も出ていましたが、この装置に強い拘りを持たれていたベテランの矯正歯科医も多数おりました。上顎骨後退型には上顎骨前方牽引装置の使用で治療効果が出る方も少なくありませんが、下顎骨自体が長い成長期の患者さんに対して下顎骨の成長を無理に押さえつけようとしても(成長力は変えられないので)、治らない、または一度症状が軽減しても装置の使用中止とともに再発する場合が多いということです。また、効果が出たように見えても実際には 1)下顎骨の成長方向が下方に向かうだけ 2)下顎骨が左右どちらかに偏位する(変えられない成長力を無理に押さえつけるため顎が横に曲がる) 3)顎関節が損傷を受ける の、3つの代表的な副作用が生じる可能性が高いことがわかってきたため、チンキャップの使用を続ける矯正歯科医は減少しています。

 

【成長期骨格性下顎前突にチンキャップを使用した場合のシミュレーション】

成長期骨格性下顎前突にチンキャップを使用した場合に、一部改善が見られる方はどのような場合でしょう。それは、下顎骨の成長がチンキャップの影響で下方に向かった場合と推測されます。下顎骨の長さが同じでも、下顎骨が下方に位置することにより下顎骨が後方に位置することになります。

例えば、下図のような骨格性下顎前突の方がいたとしましょう。

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下顎が理想値よりも10mm程度前方にありますが、前述の通り下顎骨自体の長さは短くできません(外科手術を除く)。このような方にチンキャップを用いて治ったように思えたとしても、現実的には以下のような治り方( カモフラージュの仕方)となります。

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わかりにくでしょうか。それでは時計で例えてみましょう。

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長針の長さは同じです。

それでも10時20分と10時25分では、基準線(青線)からの距離(赤線)は長くなります。チンキャップで効果が出て見える場合でも時計の長針と同じで、実際には治っている訳ではありません。単にカモフラージュしているだけになります。特に面長の人にこのような治療をしてしまえば、より面長になってしまいます。

 

【当院での考え方】

では、低年齢で下顎骨自体が長いことが判明した場合、どうすれば良いのか?大きく分ければ以下の2択になると思います。

(A)上記を踏まえたうえで何もせず、下顎骨が伸びきった頃に①矯正治療単独で可能か(抜歯が必要か不要か) ②外科矯正(下顎骨離断手術など)かの判断を行う

(B)言い方は悪いが、やるだけやってみる

 

例として、7歳で来院された男の子の横顔レントゲン写真を分析します。

seityouyosoku1

一見、それほど重症には見えませんが、すでに5mm程度下顎骨が理想値よりも前に位置していることがわかりました。男の子の場合で言えば概ね中学校2年後半頃から身長がグッと伸びるので、下顎骨も長くなります。専用のソフトで成長期が終わる頃にどうなっているかのシュミレーションを出してみると下記の通りです。

seityouyosoku2

緑色のようになると予測している訳です。何度か記載した通り、下顎骨の成長を止めることはできないので、矯正治療を行なってもこうなってしまう可能性が高いということです。

低年齢の場合はどうでしょう?

上記の(A)放置でなく(B)のやるだけやってみる の選択をするのであれば、下顎骨の過成長を止めることはできないことがわかっているので、1つ前の記事同様に上顎骨前方牽引を行うしかありません。

つまり、長い方の下顎に合わせて上顎を前に出すことになるのですが、下図のように人間の顔はある点を中心に放射線状に発育します。下顎が伸びる前に上顎骨を先に成長させてしまい、その後に上下の前歯を比較的深めに噛ませる(歯の移動で行う)ことにより、下顎骨が少しでも過成長しづらい環境を作るということです。

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上顎骨前方牽引の治療目標は下図のような感じです。

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白く写っているのが骨で、水色のラインが上顎骨前方牽引終了時の予測です。下顎も2年間で成長していますが、それ以上に上顎骨を一旦前方に牽引しています。

治療前後の重ね合わせ。

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ここからが大切ですが、注意点です。

1)今回、日本矯正歯科学会が下顎骨自体が長い方に対しての早期治療を推奨しないとしたように、必ずしも効果が出るとは限らない。一旦効果が出ても、成長に伴い下顎が結局は過成長してしまう場合が多い。

2)年齢が上がれば上がるほど、下顎が前に出てきているため、上顎骨前方牽引では追いつかないか、効果が出たとしても上下顎前突の状態になるのはやむを得ない。

3)2)の理由で、外科手術は回避できても、(上下顎前突をカモフラージュするため)上下左右で4本の抜歯を行い、その隙間を利用して上下前歯を後退させる治療が必要になる。

 

上記のことをよく理解して頂いたうえで、早期治療を行うか第2次成長期終了まで経過観察するか慎重に検討して頂きます。

 

またしても長くなってしまったので、続きは次回。

 

参考:合わせて読んで頂くと理解が深まるかと思います。

成長期反対咬合(受け口)の考え方 - 1

成長期反対咬合(受け口)の考え方 - 2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2023.02.19更新

前回の続きです。
近年、EBM普及推進事業(Minds)診療ガイドラインに掲載された
『矯正歯科治療の診療ガイドライン 成長期の骨格性下顎前突編』の中で、骨格性下顎前突に使用される3つの代表的な矯正歯科装置の診療ガイドラインが掲載されていますので説明しています。


(1)成長期の骨格性下顎前突に上顎前方牽引装置は推奨されるか
→成長期の骨格性下顎前突に上顎前方牽引装置を弱く推奨する


理由(抜粋&一般の方にわかりやすいように書き換え)
骨格的な、歯の移動による改善効果があるが、観察期間が長くなるにつれ、
それらの改善効果は小さくなる。最終的に、上顎前方牽引装置による治療群では外科的矯正治療が必要と判断される患者の数が対照群と比べ減少するものの、外科的矯正治療を回避できない患者は治療群でも一定数存在する。このように、患者によって治療を受けることの利益と負担のバランスにばらつきがある可能性があるため弱い推奨とした。


【解説】
残念ながら下顎骨の過成長を止める方法は存在しません(過去には止めようとしていた時代もありましたが、止められないことがわかってきたため、下顎骨の過剰な成長を止める目的の治療装置は使用されなくなっています)。上顎骨の成長が悪いために反対咬合になっている場合には、成長期であれば上顎骨自体の位置を改善することが可能な場合があります。
最適な時期に上顎骨の前方牽引を行うことにより、反対咬合の改善が得られ、その後の第二次成長期終了後でも安定している状態の場合もありますが、一旦は効果が得られ、尚且つ治療開始時には上顎後退型で下顎骨が長かった訳ではないのに、第二次成長期に下顎骨が過成長を起こしてしまう場合も一定数いるということになります。

【使用する装置】
上顎骨前方牽引装置として、当院ではフェイスクリブ(製造業者:Great Lakes Dental Technologies, LTD. 国内ではJM Ortho社が取り扱い)を使用しています。
お口の中(上顎)には下の画像のような装置を装着。奥歯の金具に矯正用の小さな輪ゴムを引っ掛けます。幼稚園の年長さんでも、慣れれば自分一人で引っ掛けることが出来るようになります。

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お顔には、下の画像のようなフレームを装着します。上顎奥歯に引っ掛けたゴムを引っ張ってフレームにも引っ掛けます。ゴムを外せば、フレームも外れる仕組みです。やはり、慣れれば幼稚園の年長さんでも、自分一人で引っ掛けることが出来るようになります。

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【効果例1】
9歳8か月の女子。反対咬合を気にされて来院されました。レントゲン分析の結果、下顎骨の長さに問題はなく、上顎骨の成長が悪い、上顎骨後方型の骨格性反対咬合であることがわかりました。

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フェイスクリブの使用により反対咬合は改善。その後、身長が伸びている間は、下顎の位置は変化する可能性があるので凸凹の治療などは慌てては行わず、身長の伸びがある程度止まるまで待ちます。女子で14歳になれば、その後に下顎が伸びてくる心配は殆ど無いので、本格矯正歯科治療開始可能となります。

【効果例2】
6歳10か月の女子。同様に反対咬合を気にされて来院されました。レントゲン分析の結果、下顎骨の長さに問題はなく、上顎骨の成長が悪い、上顎骨後方型の骨格性反対咬合であることがわかりました。

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フェイスクリブの使用により反対咬合は改善。効果例1の方と同じように、すぐに凸凹の治療は行わず、定期的に観察を行いました。小学校5年生頃までは問題は生じませんでしたが、その後、中学受験のためしばらく来院されなくなりました。中学受験後来院されると、下顎自体が1年の間に急速に伸びてしまっていました。
この場合、もしも1年間来院を休まなければ、下顎骨の成長を止められたかというと、そういうことではありません。止められないのです。
効果例1の方よりも早くから治療を開始し、一旦は改善していたのですが、こういうことは起こり得るうえに、予測することは困難です。

今までは、ガイドライン自体が存在しなかったのですが、ようやく『EBM普及推進事業(Minds)診療ガイドライン』に、成長期の骨格性下顎前突に上顎前方牽引装置は推奨されるか→成長期の骨格性下顎前突に上顎前方牽引装置を弱く推奨する
という結論が出たことになります。

つまり、効果が出る方がいらっしゃる以上は推奨しない訳にはいかないが、なかには頑張って使用して頂いても効果が出なかったり、一旦効果が出ても、数年後に悪くなってしまう方も一定数は生じてしまうため、弱い推奨に留めざるを得ないということになります。

当院では、上記のようなことをよく説明させて頂きご納得頂いたうえで、ご希望されれば治療をさせて頂いております。

因みに、効果例2の方を矯正歯科のみ(外科手術を伴わない)で治療を行いました。growthkyouseinomi

前歯の反対咬合は改善しましたが、下顎骨自体の位置は矯正歯科治療単独では改善不可です。できれば、下顎骨自体の長さから改善する外科矯正が望ましいのですが、ボーダーラインケースであったことと、ご希望を伺ったうえで、矯正歯科治療のみで行いました。

長くなってしまったので、続きは次回。

 

参考:合わせて読んで頂くと理解が深まるかと思います。

成長期反対咬合(受け口)の考え方 - 1

成長期反対咬合(受け口)の考え方 - 2

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2023.01.31更新

2年以上も更新が滞ってしまいました。
以前、『成長期反対咬合(受け口)の考え方−その1』『成長期反対咬合(受け口)の考え方−その2』という記事を掲載しましたが、更新をサボっている間に、『矯正歯科治療の診療ガイドライン 成長期の骨格性下顎前突編』というものが、日本矯正歯科学会を中心となって作成され、EBM普及推進事業(Minds)診療ガイドラインに掲載されました。

その中で、骨格性下顎前突に使用される3つの代表的な矯正歯科装置の診療ガイドラインが掲載されています。

 

(1)成長期の骨格性下顎前突に上顎前方牽引装置は推奨されるか

(2)成長期の骨格性下顎前突にチンキャップは推奨されるか

(3)成長期の骨格性下顎前突に機能的矯正装置は推奨されるか

 

次回以降で、それぞれ説明していいこうと思います。

・・・・・・・・

以下、余談。

長かった歯科医師会の専務理事というお役目も、あと5ヶ月。

お役御免になったら、このBLOGも、もう少し更新できるかな〜?

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2020.12.14更新

休診日の本日は、待合室などの床張替作業を行って頂きました。待合室の床は、カウンセリングルームや受付とも一体となっているので、全て張替えです。床の上に何も無い状態にしなければいけないので、昨日はちょっとした引越しみたいでした。

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移転してまだ3年なのですが、だいぶ傷んでしまいました。どうせなら、色もガラッと変えて、

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だいぶ良い感じになりました。

 

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2020.11.25更新

本日は、診療後に歯科医師会関係のWEBセミナーでした。そして、人生で初めて閉会の挨拶をすることになりました。在り来りの挨拶はしたくない、かと言って長くなってはいけない、講演内容が挨拶の中に活かされていないといけない、などと考えていると、最初は気軽に考えていましたが、日にちが近づくにつれて段々と緊張してきました。

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そんな訳でWEBセミナーである利点を活かし、カンペを用意してそれを読ませて頂きました。たぶん誰にもバレていなかったと思います。

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2020.10.31更新

本日は、戸塚区・栄区・泉区歯科医師会合同の学術研修会に出席しました。今回もWEB開催で、『救急薬品の取扱について』のご講演でした。

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上記3区の歯科医師会では、合同で救急薬品を購入して会員に配布しています。ところが、中には専門的知識がないと使用法がわからない物もあり、会員からの要望で今回の講演が実現しました。矯正歯科臨床では、まず遭遇することは無いと思うのですが、知識として万が一に備えておくことは大切ですね。

そして今回ご講演頂いたのは、当院の患者さんの親知らずの抜歯等でお世話になっている平成横浜病院歯科口腔外科の青山繁先生でした。実は、いつもお世話になっているのに1度もお会いしたことはなく、かねてよりご挨拶したいとは思っていたのですが、今回もWEB開催であったため叶いませんでした。

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2020.10.06更新

透明マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置の1つであるインビザライン治療は、これまで主に永久歯が生え揃う時期の矯正治療(本格治療:第2期治療)で使用していましたが、目覚ましい技術進歩により、2019年3月から乳歯と永久歯が混在する混合歯列期の矯正治療(早期治療:第1期治療)からの使用が可能になりました。

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混合歯列期の矯正治療(早期治療:第1期治療)でよく行われる治療として、歯列の拡大と前歯の整列があります。従来の矯正法では、これらを別々の時期に2度に分けて行う必要がありました。
インビザラインファースト(透明マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置の1つ)の場合、「歯列の拡大」と「前歯の整列」を同時に行うことができるのが大きな特徴です。これにより、矯正治療の期間の短縮や、来院回数を減らすことが可能になります。

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【その他の利点として】
※透明で目立たない
※取り外しができるので、普段通り食事ができる
※歯磨きのときに取り外しができるので、虫歯のリスクを下げることができる
※従来の針金や凸凹の多いブラケットを使用しないため、矯正装置が原因となる口内炎の発生リスクが少ない。
※同様に、転んだりボールが顔に当たったりしても矯正装置によるケガの心配が少ない。
※痛みを伴う破損が少ない
※通院回数が少ない

【注意点として】
※1日20時間以上の装着が必要
例として、食事の後に装着し忘れるなどして1日20時間以上の装着ができないと、矯正治療期間が延びたり矯正結果に悪影響がでます。

【インビザラインファースト(透明マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置の1つ)の適応条件】
※下記1.~3.すべての条件が必要です。
1.第一大臼歯が萌出している
2.切歯のうち少なくとも2歯が2/3以上萌出している
3.少なくとも3/4顎に乳歯(C、D、E)または未萌出の永久歯 (3、4、5)が2歯以上ある

※歯並びの状態によっては、従来の装置をおすすめする場合もあります。

※従来の装置と同様に、早期治療:1期治療だけで治療が完了することは殆ど無く、永久歯列完成後に本格治療:第2期治療が必要になります。

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※骨格性反対咬合の治療や上顎前突の治療では、インビザラインファースト(透明マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置の1つ)以外にも顎外固定装置を使用する場合があります。その場合、費用はインビザラインファースト(透明マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置の1つ)の費用に含まれます。

治療費はこちら(矯正治療料金のご案内)

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2020.10.05更新

昨日から、第79回日本矯正歯科学術大会に参加しています。今回は、第9回国際矯正歯科会議世界大会と第12回アジア太平洋矯正歯科会議も併催とのことで、会場となるのは横浜。大成功に向けて関係者の方々は何年も前から相当ご尽力くださっていたことと思いますが、昨今の状況を鑑みてWEB開催となりました。実行委員会の方々には、この特別な状況の中で開催できたことに深くお礼申し上げたいという思いであります。

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学会参加すれば普段はなかなか会えない知り合いの先生と情報交換出来たり、個人的には何より開催地周辺で趣味の写真撮影を楽しみにしているのですが、今年はそれは叶いません。ただ、移動時間や交通宿泊費がかからずに、視聴できるのは便利です。

商社展示もバーチャルで、面白い企画でした。

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それでも数年後、「そう言えば学会をバーチャルで開催した年もあったよね!」なんて思い出話しが出来る日が待ち遠しいです。

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2020.09.30更新

本日9月30日は、某歯科材料メーカーで従来の矯正材料を注文できる最終日となります。

矯正歯科界に激震が走ったのは8月16日。そのとき当院にも届いた矯正材料メーカーの大手である某社からの郵送物は行方不明になってしまいましたが、そこには『Traditional Orthodontics事業から撤退』という衝撃的な文言が記載されていました。その後、8月31日にも郵送物が届きました。

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要するに、透明マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置などのデジタル矯正歯科事業に特化するため、従来のブラケットとワイヤーで治療を行うような矯正歯科材料は供給しませんよ。ということです。当院でも、1期治療(永久歯が生え揃っていない時期)で前歯に装置を装着する必要がある場合には、このメーカーの審美ブラケットを使用していました。何よりも、このメーカーは(今では海外資本の会社に吸収されてしまいましたが)以前は日本を代表する老舗メーカーで、歯科医師なら誰でも学生実習の際に、このメーカーのSTロックという装置を金属バンドにロー着しているはずです。それが今後は存在しなくなります。

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当院に関しては、ブラケットは他のメーカーへの切り替え、STロックは当院では元々使用していないということで、当面はさほど混乱しないと思います。しかし問題は別なところにあります。追従するメーカーが出てくるのでは?という不安です。矯正歯科を専門に開業している歯科医師の団体では、この某社に意見書を提出する動きもあるようですが、正直効果はないかと思います。希少難病の医薬品は開発が進まないと何かの書籍で読んだことがあります。そこに投資しても利益が少ない、研究費開発費だけで赤字になるようなことがあれば、研究開発に乗り出す企業が現れにくいからだそうです。企業も利益と社員の生活は守らなければなりません。

どれだけデジタルが進んでも、透明マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置が進歩しても、従来のブラケットとワイヤーを用いた矯正歯科装置が不要になるはずはないと思っていましたが、需要が少なくなれば、あまり売れない物の在庫を抱えたり開発する余裕はなく、多くの企業が撤退していくのは止むを得ないのかも知れません。

どれだけ嘆いても、悲しんでも、時代の流れには逆えず、5年後10年後を見据えれば、デジタルを応用した矯正歯科治療の質を高めていくしか無さそうです。

 

 

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

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