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2019.07.25更新

久しぶりの目黒、久しぶりのJR東急目黒ビルです。

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アラインテクノロジージャパン本社で開催された、Invisalign Study Clubに久々に参加してきました。どちらかと言えば、導入して間もない歯科医師対象のコースが多かったことと、7月から新たに就任した理事職の関係で予定が入れづらかったこともあって、最近は案内を頂いてもスルーすることが多かったスタディクラブです。

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ただ今回は、講師の先生がちょっとした知り合いであったことと(このときも同じテーブルでした)、私が知りたい情報に関する講演内容が含まれていたので、参加申し込みをしました。結果として参加できてとても有意義な1日となりました。日々、進化している治療法なので新しい情報もあり、聞いておいて良かったと思えるお話しばかりでした。公演後の質疑応答で、私の捻くれた質問にも丁寧に回答頂き感謝です。

以下、前回の投稿と全くの同文です。せっかく東京まで来ましたが、今月から始まった歯科医師会専務業の影響で医院の雑用が溜まっています。そのため寄り道せずに帰りました。趣味の撮影はしばらく御預けです。

 

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2018.12.02更新

本日は目黒の雅叙園で開催されたThe Meeting for Experiencde Invisalign Providersに参加してきました。

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全くの余談ですが、53年11ヶ月生きてきて初めての雅叙園です。

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『聖夜樹』さすが雅叙園、Xmasツリーも他とはひと味もふた味も違います。

話がそれました。本日は、インビザライン(薬機法対象外)治療に関してプラチナドクター(技術評価ではなく年間症例数の評価です)以上の歯科医師だけが参加できるセミナー及び症例検討会でした。私は昨年から参加資格があったのですが日程が合わずに参加出来ませんでしたが、今年はなんとか都合をつけて参加することにしました。

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まずは銀座のM先生と金沢のK先生からの御講演二題を拝聴した後、指定されたテーブルごとに分かれてラウンドテーブルディスカッションです。テーマは『難症例を考える』となっていたので、従来ならばインビザライン(薬機法対象外)では治療が難しいとされている症状の治療例を持参したのですが、はっきり言って緊張します。しかもテーブルに座ってビックリ!同じテーブルにはクリニカルスピーカーでもある大阪のA先生やマウスピース型矯正に特化した矯正歯科医院を開業されている東京のI先生や『見えない矯正』に特化した東京のK先生が着席されており、(実は皆様よく知ってる仲ではあるのですが)自分の症例がどのように評価されるかとても不安になりました。緊張で心臓が飛び出しそうでしたが無事プレゼンも終わり、さらに尊敬している先生から幸いにも「良く治ってますね」と言って頂き、お陰様で笑顔で記念撮影に収まることができました。

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私たちのテーブルでは1名の先生が欠席されたようで、少し時間が余ったので他のテーブルも見てまわることができ、参考になる治療例を予定外に見ることが出来たりもしてラッキーでした。

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さて、せっかく東京まで来たのでセミナー終了後は目黒駅のコインロッカーに預けておいた機材を取り出し押上まで移動。以前から撮ってみたかった十間橋です。

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意外と難しく、川に映る逆さスカイツリーは肉眼では見えても写真には写ってくれません。逆さスカイツリーも写るようにとISOをあげれば実物のツリーが真っ白に。そんな訳で、これは露出を変えて撮った2枚を合成しています。でも、この日は風もあったため水面が揺らぎ、シャープな逆さスカイツリーは撮れませんでした。

次は柳島歩道橋です。

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 ここからスカイツリーと車のヘッドライトとテールランプの軌跡を狙ったのですが、突然の雨で風向きも悪く、どうにも避けようがない水滴がレンズに付着してしまいます。撮りはじめて直ぐに諦めて撤収しました。

最後は京成押上線の踏切辺りからスカイツリーと電車の軌跡です。

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電車がステンレス製なので軌跡のラインが綺麗に写ってくれますが、やはり雨の水滴がレンズに付着します。予定では、スカイツリー周辺でまだまだ撮るべき場所を決めてあったのですが、またの機会にします。

 

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2018.09.10更新

昨日に続いて本日は、東京コンファレンスセンター品川で開催されたInvisalign Master Courseに参加してきました。

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講師は昨日もご講演頂いたイタリアのGarino先生、講演テーマは『Treating complex cases with Invisalign:Where are the limits?』でした。透明マウスピース型矯正歯科装置の1つであるインビザライン(薬機法対象外)は、『装置が目立たない』『取り外しが可能なため歯ブラシがしやすく虫歯になりにくい』という利点がある反面、『適応できる症状が限られている』という欠点があります。いや、欠点があるとされています。しかし、まだこの未来型装置の性能や治療法については今後益々改良されていくことは間違いなく、近い将来には現在のWIRE矯正で治せる症状は全てインビザライン(薬機法対象外)でも治療可能な日が訪れるかもしれません。

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Garino先生の講演では、今までならばインビザライン(薬機法対象外)では治療が難しいとされていた症例もインビザライン(薬機法対象外)で治療を行い、しかも良く治っていると思いました。同じ矯正歯科医として、私も頑張らないといけないと強く思いました。

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話は変わって昨日の永代橋からもう1枚。リバーシティ21側は物凄い三脚の数が並んでいましたが、反対側でも撮っているのは私1人でした。『人の行く裏に道あり花の山』と言いたいところですが、こちら側でもたいした写真は撮れませんでした。

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投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2018.09.09更新

本日は虎ノ門ヒルズで開催されたJapan Invisalign Forum 2018に院長と副院長で出席してきました。ちなみに虎ノ門ヒルズという建物を実際に見たり、中に入ったりすることは初めてでした。

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iPhoneでは、上から下まで全てを入れることは出来ませんでした。

開演30分前なのに前の方から席が埋まってしまっています。知り合いの矯正歯科医も全国から多数出席されていて、今回のForumへの関心の高さが伺えます。

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まずはイタリアのガリーノ先生による『Aligner therapy in growing patients:tools and strategies』のご講演。その後も多くの先生の講演がありましたが、今回は共通のテーマがありました。透明マウスピース型矯正歯科装置の1つであるインビザライン(薬機法対象外)は、今までは永久歯列の患者さんを対象にしたものでした。しかし今回はこのインビザライン(薬機法対象外)を混合歯列期(乳歯と永久歯が混在している時期:早ければ6〜7歳から)の患者さんにも使用出来るように開発されたことに関するトピックスがメインでした。

実は正直、今回のフォーラムの案内が届いたときには「混合歯列期にインビザライン(薬機法対象外)なんて無理だよな〜、聞きに行っても時間の無駄だろうな〜」と思っていたのですが、フォーラム終了後には「これは症例を選べば有効な治療ツールになり得る!」と考えが変わりました。装置は『インビザラインファースト』(薬機法対象外)となるのですが、残念ながらまだ日本では33名のドクターにしか使用する権利が与えられていません。

そして幸いなことに私はその33名の中に選んで頂いております(だから参加した訳ですけれど)。そうは言ってもまだ日本では実績の少ない治療法ですので、当院で導入するかは慎重に検討して行きたいと思います。*2019-3-10追記:その後適応症と思われる方で安全に治療出来ると判断した数名の患者さんに導入していますが、良好な経過が得られています。但し、まだ症例数が少ないので評価はまだ先になるかと思います。

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 フォーラム後は、せっかく東京に来たので以前から行ってみたかった場所へ。到着するとベストポジションはすでに数個の三脚が並んでいたため少し左からの撮影になりますが、ずっと撮りたかった永代橋からリバーシティ21と屋形船の軌跡ですが、こちらもまだまだ修行が足りていません。

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投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2018.08.06更新

目黒駅前のコンパスオフィスで開催された、「インビザラインスタディクラブ東京」に参加してきました。「マウスピース型矯正歯科装置」のパイオニア企業である米国アライン・テクノロジー社のグループ会社であるアライン・テクノロジー・ジャパンでは、定期的にスタディクラブを開催してくれるので大変役立っています。

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透明マウスピース型矯正歯科装置の1つであるインビザライン(薬機法対象外)は、『装置が目立たない』『取り外しが可能なため歯ブラシがしやすく虫歯になりにくい』という利点がある反面、『適応できる症状が限られている』という欠点があります。

しかしながら、歯は力を加えた方向に動くという原則を考えたときに歯を3次元的に包み込んで移動させることが可能なインビザライン(薬機法対象外)は従来のWIREを用いた矯正歯科装置よりも有利な部分も多く、今後研究が進めば現在よりも適応症が増えることが予測されます。

今回の内容はまさに『インビザライン治療における適用症例の拡大』で、今後この治療法で殆どの症状が対応可能な日がいずれ来るであろうことが実感できました。

 

 

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2018.03.01更新

通院中の皆様は、すでにお気づきだったかも知れませんが、診療室への階段を登りきったところに置いてある盾が2つに増えています。

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左が2017年、右が2018年

今年度も、マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置の1つであるインビザライン(薬機法対象外)のプラチナドクターに認定して頂き、昨年までとは違うデザインの盾をアラインテクノロジー社から頂いたので両方とも飾らせて頂きました。

 

注意して頂きたいのは、プラチナドクターとはあくまでも年間の症例数の評価であり、マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置での治療に関する診断力や技術力に関する認定試験(今のところそんなのありません)をクリアした訳ではありません。

ただ、症例数が多いということは経験値も高いことの証にはなるのかな?とは思っております。

盾の立派さに負けないよう、日々勉強していなかいといけませんね。

 

 

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2017.10.15更新

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クリンチェックについて(その1)を読まれていない方は、まずこちらの記事から読んで頂いた方がわかりやすいと思います。→ クリンチェックについて(その1)

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今回はクリンチェックの応用編として、実際のケースを基に考え方の一例を記載してみたいと思います。下図は実際の患者さんの口腔内をiTero Elementでスキャンした画像です。

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実際には360度あらゆる方向から見ることが出来ますが、わかりやすいように5カット取り出しています。

 

上下歯列ともに叢生(凸凹)があるうえに、上顎前歯は前方に傾斜しています。単純に凸凹を並べていけば上顎前歯はさらに前方に飛び出てしまいますので、矯正歯科治療を行ううえでは抜歯が必要かもしれません。しかし、そんなに簡単に抜歯することを決定してはいけませんので細かく検討していきます。

 

矯正歯科治療を開始する前に必ず撮影する側貌セファログラムです。上顎前歯が突出しているのがわかります。

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上顎骨のあるポイントから下顎のあるポイントを結んだ線から上顎前歯が14mm離れています。MBLOG_CC_APO

 

理想は赤の両矢印の距離が8mmくらいまでなのですが、この方の場合には(上の歯が出ている割には)口元の突出は多くありません。そのため、9mmくらいまで改善できれば大分良くなることが予想されます。そこで、再度この方の3Dバーチャルモデルを見てみます。

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まずは歯を抜かずに治療可能かどうかを検討します。上図①のラインまで上顎前歯を後退したいところですが、主に真ん中の2本を後退させればよく、左右の2番目の歯は多少前に移動しても許容されます。その他、上顎右側の第一大臼歯が特に手前側に回転してしまっているので、是正することによりSpaceが確保できます。加えて、上顎奥歯の後方移動を行うことができれば、さらにSpaceを獲得できます。下顎に関しては一番後方の左右第二大臼歯が内側(舌側)に倒れ込んでおり、手前の左右第一大臼歯は手前側に回転してしまっているので、奥歯4本を正しい位置付けにすればSpaceが獲得できます。まずは歯を抜かずに治療可能かどうかを検討します。以上のような事項を、クリンチェック前の指示書に明記して、こちらの意図を伝えることが重要です。

処方箋を提出後、早ければ1週間程度で最初の治療シュミレーションが届きますが、そのまま使用できることはまずありません。

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届いたシュミレーションでは上顎奥歯の後方移動を2.5mm程度行うように設定してあります。透明マウスピース型矯正歯科装置の1つであるインビザライン(薬機法対象外)は、従来のWIREを用いた矯正治療と比較して、この奥歯の後方移動が行いやすいとの報告があります。しかし、どれだけ技術が進歩してもデジタル化が導入されても、原理原則が変えられる訳ではありません。

 

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この方の場合、上顎の奥歯を後方移動させるためのSpaceがどのくらいあるのかは、上図の赤い両矢印の距離を計測します。計測によれば、片側につき1〜1.5mm程度の後方移動しか行うことが出来ないと予測されます。シュミレーションでは2.5mm近く後方移動を行っているので仮に移動が可能だったとしても長期に安定しない可能性が高いと思われます。そこでシュミレーションをやり直してもらいます。

 

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赤線を引いてある部分になりますが、上顎奥歯の後方移動量をこの患者さんにとって現実的な数値に変更してもらいます。但し、そのままでは後方移動を減らした分だけ上顎前歯の後退量が減ってしまいますので、IPR(interproximal redution)を加えます。IPRとは、歯と歯の間を少し削って隙間を作る処置のことですが、削るというよりはヤスリをかける感覚に近いもので、当然歯の健康や寿命に問題ない範囲で行います。上図の左側に歯と歯の間に記載してある数字がIPRの量で、.2とは0.2mmを意味し、歯と歯の間で0.2mm、それぞれの歯にとっては両側を0.1mm削るシュミレーション(.3は0.3mm、それぞれの歯にとっては両側を0.15mm)となっています。

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勿論、最初から「この患者さんの奥歯の後方移動許容量は1~1.5mmです」と伝えても良かったのですが、私は敢えて上記のようにしています。「前歯は治療前よりも何mm後退させたい」「上顎奥歯を後方移動させてSpaceを作りたい」は最初に指示しますが、奥歯は何mmしか後退出来ないと指示してしまうと、かなり無理のあるシュミレーションを作成してきたり(その無理がアチコチに散りばめられるため気づきにくくなったりもします)、IPRの箇所や量がメチャクチャ多いシュミレーションが出来てきてしまいます。クリンチェックには実際の患者さんと異なり、歯を支えている歯槽骨も歯周組織も存在しないため3D空間上では何処までも移動可能なので実現不可能な計画だって出来てきてしまいます。敢えて指示しないで出来てきたシュミレーションの後方移動量と現実とのギャップを見ることが必要と考えています。そのギャップが多過ぎる場合や代償的にIPR量が相当増えてしまうようであれば、無理に非抜歯法での治療を行うことよりも、抜歯法での治療を検討した方が良い場合もありますし、従来のWIRE矯正の方が良い可能性もあります。

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さらに言葉のやり取りでは難しい修正は、3Dコントローラーを使用して矯正歯科医が個々の歯を正しい位置付けになるよう修正していきます。

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これ以外にも、奥歯を2本同時に後方移動するのは無理だから1本ずつ移動させるとか、犬歯を含めた前歯6本を同時に後退させるのは無理があるので予め犬歯だけを後方移動させるとか、患者さんごとに移動計画を指示していきます。そうしていると、殆どの場合で5〜10回のクリンチェック修正が必要になります。

 

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殺す気か!ってくらい、クリンチェックの確認を早くしてね、とメールが届きます(^_^;)

 

参考:歯を抜く矯正、抜かない矯正

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2017.10.10更新

透明マウスピース型矯正歯科装置の1つであるインビザライン(薬機法対象外)での治療を検討されている方の中には、WEB上で色々と情報を手にされている方も少なくないと思います。そのような方は「クリンチェック」という単語をよく目にすることになると思います。今回は、この「クリンチェック」のお話です。

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左が治療前で右は治療結果のシュミレーションです(実際の治療結果ではありません)

「クリンチェック」と略して呼ばれることが多いですが「クリンチェック・ソフトウェア」が販売名称で、米国のアラインテクノロジー社が開発した矯正治療における歯の移動を3次元的にシュミレーションできるアプリケーションのことです。

まずは矯正歯科治療を開始する前に通常通りの必要な検査を行い、検査結果を詳細に分析した上で診断を行い治療計画を立案します。抜歯が必要か非抜歯で可能か、患者さんに適した治療装置はどのようなものがあるかを説明させて頂いたうえで、透明マウスピース型矯正歯科装置の1つであるインビザライン(薬機法対象外)での治療が可能と判断され、さらに患者さんもこの装置を希望された場合には最初にiTero Elementoを使用して口腔内スキャニングを行います。

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スキャニングしたデータは3次元画像で見ることが可能ですが、今回は治療前検査で撮影した口腔内写真と同じ方向からのデータを抜き取って見てみましょう。左側が口腔内写真、右側がスキャンデータを元に作製された3D歯型模型です。

正面

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右側

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左側

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上顎

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下顎

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今回は、治療前検査で撮影した口腔内写真に一致する方向の画像を取り出しただけですが、実際には3D模型なのであらゆる方向から見ることが可能です。喉の方向から見るとこんな感じです。

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このiTero Elementで採得した口腔内スキャンデータと画像やレントゲン画像を米国のアライン社にインターネット上で送付するとクリンチェックという治療計画のシュミレーションが出来上がってくる訳ですが、ここでいくつか問題があります。

(1)スキャンデータは従来の粘土様歯型剤よりも高精度ではありますが、頭蓋の中でどこに歯が存在しているのかまでは再現されません。つまり、歯列が顔貌の中で平均よりも前方に位置しているのか、後方に位置しているのか、右にズレているのか、左にズレているのか等の情報は含まれておりません。そのため矯正歯科医が従来通りの検査データに基づく診断を行い、矯正治療後のゴール設定を明確にして指示書を記載します。そうしなければ、前歯を前方に傾斜させてはいけない症例なのに前歯を前方傾斜させる計画が出来てきたり、(歯を支えている骨の厚みが足りないのに)歯列の拡大量が現実的でない計画が出来てきてしまいます(テクニック的には敢えて詳細な指示を出さずに出来てきた治療計画と現実とのギャップを知るという手法のあるのですが、専門的になり過ぎるので割愛します)。

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例としてこの患者さんの歯列は頭蓋の中で前後的な位置と傾斜は上図のように存在しています。

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しかし、もっと前方に存在していたり、後方に存在していたり、角度も急傾斜だったり緩やかだったり様々で、それによって治療計画は変わるはずなのですが、どれだけiTero Elementのスキャンデータが精密であっても、これらの情報に関しては皆無です。

正面を見てみましょう。

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この患者さんは、上顎が右に偏位しており下顎が左側に偏位しています。上顎歯列の中心線は右側にズレているのですが、下顎の歯列も右側に傾斜しているので上下の真ん中は合っています。つまり歯は上下ともに右側にズレている形になっている訳ですが、iTero Elementのスキャンデータだけを送付して細かい指示を出さなかったとすれば、(上下の真ん中が合っているため)上下ともに前歯の真ん中が右側にズレたまま歯を並べる計画を立ててしまいます。

 (2)スキャンデータを米国のアライン社にインターネット上で送付するとクリンチェックという治療計画のシュミレーションが出来上がってくると前に記載しましたが、このシュミレーションはアライン社に世界中から集められて蓄積された500万人以上の治療データを基に、クリンチェック上でエンジニアが歯を配列させています。ここで終わりであれば、どこの歯科医院で歯型を取っても同じマウスピースが出来てくるかも知れません。しかし実際には上記のようなことから、矯正歯科を専門的に行う歯科医師が様々な修正・調整を細かく行う必要があります。この調整は矯正歯科医によって異なってくるため、経験値がある矯正歯科医とそうでない歯科医とでは出来上がってくるマウスピースは同じように見えても異なるものが出来てくる訳です。

(3)そもそも論になりますが、どんなに素晴らしいクリンチェックが作れたとしても、それはあくまでもシュミレーションであって実際その通りに歯が動くことを保証するものではありません。何らかの原因で予定通りに動かなかったとき(従来のWIRE矯正でも起こり得ます)、リカバリー出来るかどうかはWIRE矯正での経験年数と透明マウスピース型矯正歯科装置との両方の経験年数が必要です。透明マウスピース型矯正歯科装置にはWIRE矯正とは異なる特有の歯の移動様式があり、それに合わせた診断技術と経験値が必要ですが、現在のところ歯科矯正学の教育過程(歯科大学卒業後、大学の矯正歯科学講座入局が一般的)では、矯正歯科に関する診断や治療技術の大原則は、まずはWIRE矯正を通じて習得します。WIRE矯正の経験がなく透明マウスピース型矯正歯科装置を扱うことは有り得ないように思われるのですが、実際には法的な規制もなく透明マウスピース型矯正歯科装置によるトラブルが増えていることも事実なのです。

インビザライン(薬機法対象外)などに代表される透明マウスピース型矯正歯科装置は、歯を3次元的に包み込んで移動させることができるなど、従来のWIRE矯正よりも優れた部分も多々ある装置です。しかしながら、扱いは非常に難しく矯正歯科を専門に行う歯科医師が十分に綿密な治療計画を立てて、その計画を作成するエンジニアに伝えて初めて優れた装置になります。扱いが難しい装置でありながら、歯科医院にとっては導入がしやすいという特徴があります。歯型さえ取ってデータをアメリカに送れば装置が自動的に出来てきます。正しい診断が出来ているのか、移動計画は適切か?などは関係なく作成してくれます。

クリンチェックについて(その2)に続く

参考:歯を抜く矯正、抜かない矯正

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

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