ブログ

2018.02.01更新

従来、矯正装置(ブラケット)の装着方法は、1歯1歯患者さんの歯を見ながら直接接着する方法=DBS(ダイレクトボンディングシステム)でした。歯の軸(歯根の方向)を考えながら正確な位置付けをするには、患者さんが1時間近くも開口状態でいる必要があり負担が大きくなってしまいます。また奥歯では歯の正面から歯の軸を見ることは不可能で、ある程度勘に頼った装着法でありました。

 

一方IDBシステム(インダイレクトボンディングシステム)は患者さんの歯の模型を用いて多角的に観察し、レントゲンなどで歯の根の方向も確認して位置付けをしていきます。模型上でブラケットを仮着していくため何度でもやり直すことが出来るため、より正確な位置付けが可能です。

MOOKB001

レントゲン写真で歯の根の方向も確認しながら装置(ブラケット)を装着する位置を決め、模型にラインを引いていきます。

当院では各種あるIDBシステムの中からコモンベースシステムを採用しています。

MOOKB2

実際の口腔内では見えない方向などからもよく検討して装置(ブラケット)を模型に正確に仮着していきます。

そして模型上で仮着したブラケットに透明な移送トレー(レジンベース)を作製して患者さんの口腔内に装着(接着)していきます。正確な位置決めにより精度の高く効率的な治療を患者さんに御提供できるシステムです。

MOOKB0003

模型上で仮着した装置(ブラケット)にレジンベースを作成します。今回は写真で見えやすいようにピンク色で作成しています。レジンベースが硬化したら取り外し、患者さんの歯に装着します。装着後、レジンベースは撤去可能です。

 

 このコモンベースの作成に関しては技工所での作業ではなく、院長自らが責任をもって計測・仮着・作成まで行なっており、この際にもサージテルという拡大鏡を使用して精密な位置付けを心掛けております。

 

 

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

2017.12.03更新

【矯正歯科治療は必ず歯を抜くわけではありません】

 

まず知って頂きたいことは、我々矯正歯科医は無条件に抜歯をして矯正歯科治療をしている訳ではありません。まずは抜かないで治療可能かどうか検査データを基に十分検討します。私たちも出来れば抜歯しないで治れば良いと考えております。『抜歯をしない』それ自体がメリットであるからです。

 

しかし、凸凹の歯を並べたり、出ている前歯を後ろに引っ込めたりするにはSpaceが必要です。そのSpaceを作るために抜歯で得られた隙間を利用する訳ですが、抜歯以外でSpaceを作る方法としては、

(1)奥歯を後方に移動させる

(2)歯列を側方に拡大する

(3)歯のサイズを小さくする

等が考えられ、それぞれ条件が揃わないと出来ない場合もあります。また、2通り以上の方法を組み合わせる場合もありますが、それでもSpaceが足りない場合、無理に並べれば前歯が前方に傾斜して、口元が突出してしまいます。

(2)に関しては成長期であれば可能ですが、成人になってしまうと難しくなります。また、下顎の成長が悪いために前歯が出て見えるようなケースでは、成長を上手く利用することにより抜かないで治療できる場合が増えます。

 

<抜かないで治せるか、最初に以下のことを検討します>

(1)奥歯を後方に移動させる

上下左右の一番奥の歯を後方に移動させることが可能か検討します。奥歯の後方にある骨の長さが短い場合には後方への移動は行えません。横顔のレントゲン写真で計測して判断します。また親知らずがあれば、これを抜かなければ後方移動の妨げになってしまいます。

Newdistal

左図:奥歯から順番に一本ずつ後方に移動させていくので期間を要します。

右図:奥歯の後方にある骨の長さを計測します。骨の奥行きが短い場合には奥歯の後方移動は行えません。残念ながら白人と違い、日本人ではこの奥行きが長い人はそれほど多くはありません。

 

(2)歯列を側方に拡大する

歯列自体の側方への拡大を考えます。しかし無理に歯列を拡大すると歯を支えている骨から歯の根が飛び出してしまい、咬み合わせもかえって悪くなってしまいます。また治療後に後戻りを起こしやすくなります。

MBLOG EXP

これも正面からのレントゲン写真で、歯列の幅を広げることが可能かどうか計測して判断します。

 

overexpan

無理な歯列の拡大を行うと、骨の幅の中で歯が外側に傾くだけです。支えている骨から歯は飛び出し、上下の歯が咬み合う面積はかえって少なくなってしまいます。

 

(3)歯のサイズを小さくする

つまり歯を削るということです。歯の表面は硬いエナメル質で出来ており、両端を0.4mm程度までなら削っても問題ありません。この方法で得られる隙間は、抜歯をして得られる隙間よりは少ないので、凸凹の量が多い場合には使用出来ません。また歯の形が細長い場合には、さらに細くなってしまうので、見た目の面からも行わない方が無難です。

MOOIPR

 

 (4)主には上記3つの方法で得られた隙間を利用して歯を並べ替えていきますが、それでもなお凸凹が並びきれず、歯を抜かないで治療するとすれば、前歯を前に出すしかありません。矯正歯科学的には、歯は単に並んでいれば良いという訳ではなく、顔面(横顔)の中で何処に前歯が存在するか、上下の顎の骨に対して、どのような角度で並んでいるかが重要です。もちろんピッタリ何mmとか何度とか決まっている訳ではなく、ある程度の許容範囲があり、その中で前方へ出すということになります。

MOOL1topog

上の写真の方の場合は、上顎と下顎を結ぶ基準線(Md 1 to A-pog.)から、下の前歯が9mmの位置に存在しています。理想値は3mmなので、理想値まで改善するには抜歯をして隙間を作ることが無難です。但し、「必ず理想値まで移動しないといけない」という訳ではなく、理想値より+2mmのMd to A-pog.=5mmまでの改善が歯を抜かずに達成できるのであれば、抜かない矯正も検討します。このような場合には、どこまで治るかを十分シュミレーションしたうえで、患者さんと相談して決定していきます。

 

<抜いた場合と抜かない場合では、治り方が違います>

単に「歯を抜く矯正法と歯を抜かない矯正法のどちらを選びますか?と言われれば、当然「歯を抜かない矯正」を選択するでしょう。ただ歯を並べるだけで良いのなら、殆どのケースで抜かない矯正治療は可能です。但し、歯を抜く矯正法と歯を抜かない矯正法では同じ治り方にはなりません。同じように治るなら当然抜かないで治療します。三田矯正歯科医院のスタンスとしては、条件が整えば抜かない矯正治療を心がけておりますが、「抜かないで治療できるケースは抜かず、抜くべきケースでは抜く」というスタンダードな治療方針で行なっております。

 

<どうしても抜きたくない>

近年、ミニスクリューを用いた矯正法:TAD(Temporary Anchorade Device)という方法を用いて、奥歯を後方に移動させる方法があります。歯茎に小さなスクリューを埋入して、それを土台に歯を移動させるため、従来では抜歯が必要であったケースでも、抜かないで治せるケースが増えています。また、従来のWIREを用いた矯正治療法ではなく透明マウスピース型矯正歯科装置の1つであるインビザライン(薬機法対象外)で治療可能な場合には特有の歯の移動方式から、従来では抜歯が必要であったケースでも、抜かないで治せるケースが増えています。それでも、これらの方法を用いれば全ての症状で歯を抜かずに治療できる訳ではありません。あらゆる方法を検討しても歯を抜く矯正が必要と判断され、患者さんがどうしても抜きたくないという場合には、矯正治療を行わないことも検討します。

 

 

 

投稿者: 三田矯正歯科医院 三田浩明

ご相談・お問い合わせ
歯並びのことでお悩みでしたら、三田矯正歯科医院まで
  • 045-810-1353bottom_img01_sp.png